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FXスワップポイント 高金利通貨最新事情(2019年5月)

◇運用に有利な通貨ペアを考える◇

金利通貨と日本円のスワップポイントを狙った運用、現在どの通貨ペアが有利なのかをインフレ率、最新のクロス円レートとスワップポイント(以下「スワポ」)を使って考えてみようのコーナーです。

現在の為替レートとスワポだけで『年率〇〇%!』のシミュレーションは巷でよく見ますがインフレによるレート下落とレート下落によるスワポの下落まで考慮したのは無かったので独自に作成しました。スワポは無担保コール翌日物金利と相関性が高く、無担保コール翌日物金利政策金利と相関性が高いので、政策金利が24%と圧倒的に高いトルコリラはスワポが高く『スワポ狙いの運用では圧倒的に有利!(キリッ』ってなってますが本当にそうなんでしょうか?大体この手のシミュレーションは

為替レートは変動しない

という大前提で書かれてます。でもそんなことある訳がないのです。為替レートは『通貨ペア同士の相対的な強弱』で決まります。インフレとは物・サービスに対して貨幣価値が下がる現象ですので

インフレ率の高い国の通貨ほど下落していく

のです。高金利通貨ってのはインフレ率が高いから高金利な訳で下がる方向に風が吹いています。特にトルコはインフレ率が約20%とハイパーインフレの一歩手前水準。トルコリラは下がる方向に台風並みの強風が吹いているのです。暴風です(苦笑。どんなにスワップポイントが高くても為替差損が大きければトータル収支は低くなります。なので通貨ペアと運用証券会社の選択はシミュレーションで慎重に行わなければなりません。本記事では高金利通貨であるトルコリラ、メキシコペソ、南アランドでインフレ率と現在のスワポで実際にシミュレートしてみました。

本記事では高いスワップポイントで定評のあるトレイダーズ証券の『Light FX/みんなのFX』をベースにしています。各通貨間の優劣はLight FX/みんなのFXで行います。さらにメキシコペソはスワップポイントが高いことで有名なセントラル短資FXも加えました。Light FXとセントラル短資FXは右側カラムにバナーを張っておきましたので口座開設の申し込みはこちらから(苦笑)

セントラル短資FXのメキシコペソのスワポはかなり高いです。4月だとほぼ15円でしたが連休直前に16円に引き上げられました。中々の太っ腹!しかも買いと売りのスワポ絶対値が同じ。さらにスプレッドが僅か0.4銭(0.4 pips)とメジャー通貨並みに低い!まめに利確するスタイルの人、緊急時に両建てにする人であればセントラル短資FXを一度は検討したことがある筈です。 

前回4月のシミュレーションでは運用上最も有利だったのがセントラル短資FXのメキシコペソ、次いでLight FX/みんなのFXのトルコリラ又はメキシコペソという結果でした。前回から1ヶ月経過し、為替レートもスワポも大きく変わりました。さらに元号まで変わっています(苦笑。果たして前回同様セントラル短資FXのメキシコペソが圧勝するのか、それともスワポを『15.5円』と苦肉の策で刻んできたLight FX/みんなのFXの逆襲があるのか、トルコリラは本当にスワポ運用のチャンピオンなのか、結果は非常に興味深いものとなりました。 

◇シミュレーション条件◇

各通貨2019年4月30日の終値(Bid値)を基準として、直近のインフレ率通りに貨幣価値が毎月下落していったと仮定してシミュレートしています。スワップポイントは2019年4月最終のものを使用。使用したインフレ率と毎月の通貨下落率は以下の通り。

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日本を入れているのは相手通貨である日本のインフレ率も影響するからです。さらに毎月の下落シミュレーションなので毎月の下落率を出しています。これを元に各通貨を1年間1Lot保有し続けたと仮定して算出していきました。

ただ各通貨はレートの大きさがかなり違います。同じ1Lotでも必要な日本円、損益のスケールが全く異なります。同じ規模に揃えないと比較できませんので、規模を揃えて比較しやすくしたものが最終段の『規模調整収益』になります。各通貨を100万円で購入した場合の収益結果を出しました。

◇シミュレーション結果◇ 

以下がシミュレーション結果の詳細です。各月ごとに想定レート、想定為替差損、スワポの累計を出しています。小さくてごめん。クリックして拡大してね(スマホは横向きで)。

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途中の月のデータをすっとばして、半年後と1年後だけをまとめたのが以下の表。せっかちな方はこちらをどうぞ。

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Light FX/みんなのFXでの各通貨の運用成績比較では1位メキシコペソ(5.69%)、2位トルコリラ(4.02%)、3位南アランド(3.21%)であることが分かりました。前回1位のトルコリラ、今回はメキシコペソに完敗です。競馬に例えると8馬身差の大惨敗(謎)。これは前回のシミュレーション時点でのメキシコペソのスワポが13円だったのに対し今回は15.5円とかなり上げてきた事が主な要因です。一方トルコリラ南アランドの差はそれ程でもありません。南アランドのスワポが前回13円だったのに対し今回は15円に引き上げられている為です。トルコリラスワップポイントは高いものの通貨の下落も大きいのが分かります(得られるスワップポイントの約80%が為替差損で持っていかれます)。しかも恐ろしいことにトルコリラはここ暫くはインフレ率以上のペースで下落しています。実勢としては南アランドに負けるでしょうね。負けるどころか普通に買うとスワポ以上の為替差損が発生します。競馬に例えると競争中止(さらに謎)。最早トルコリラは運用通貨と言うよりはハラハラドキドキを味わう

エンターテイメント通貨

と言っていいでしょう。でなければ儲からない通貨をわざわざ買う人がいることの説明がつきません。彼らは利益を求めている訳ではない筈(苦笑。

次にメキシコペソでの『Light FX/みんなのFX』vs『セントラル短資FX』の対決。約3000円程セントラル短資FXの勝ちですがこれは税引前のこと。Light FX/みんなのFXはポジションを決済するまでスワポに税金がかからないのに対してセントラル短資FXは未決済ポジションのスワポにも税金がかかります。決済して為替差損を組み入れて(洗い替え)税金分を圧縮しても1万2159円の税金が発生することになります。この影響をどう考慮するか。決済しないで払う税金をも複利に回すスタイルの人だとこの影響は大きく『Light FX/みんなのFX』の勝ちになります。為替差益が出た時に利確するスタイルの人だとあまり影響なしで『セントラル短資FX』の勝ちになります。またセントラル短資FXはスプレッドが狭いため、利確するスタイルの人は1回につきさらに約2400円お得になります。これ地味に効いてきますね。

◇結論◇

今回のシミュレーションから言える結論は、

1)スワポ運用に有利な通貨はメキシコペソ

2)トルコリラはスワポも大きいが通貨下落の影響が大きい

3)実勢ではトルコリラ南アランドに負ける可能性が高い

4)トルコリラは運用通貨ではなくエンターテイメント通貨

5)買って放置する人はLight FX/みんなのFX、利確する人はセントラル短資FXが有利

 

あくまでも現時点での数値を元にしたシミュレーションです。途中で前提となる数字が変化しますと結果は大きく違ってきます。変動要因としては

A:政策金利の変更

B:インフレ率の変動

C:証券会社のスワポ付与率の変更

D:為替レートに影響を与える経済指標・地政学的事件等

などが考えられます。リラもペソも米国との関係でレートが大きく変動するので注意が必要ですね。

 

トレードは自己責任で!