FX初心者トレーダーの情報発信

株のシステムトレーダーがFXを科学する

FXスワップポイント運用 メキシコペソ事情

前回の記事ではスワップポイント狙いのための高金利通貨をインフレ率を使ってシミュレートしてみました。その結果メキシコペソが有利という結果になりましたので、今回はメキシコペソの深掘りをテーマに記事を書いてみます。

 

メキシコの地理、歴史、現在の人口や産業はWikipediaなどを見て頂くとして、ここではメキシコペソに絞って簡単にお話します。メキシコは輸出の7割以上、輸入の5割以上が隣国の米国相手です。なのでペソの歴史はほぼ米国との関係に集約されます。特に最近はトランプ大統領が大統領選挙中や当選した後の発言に大きく左右される事が続いています。

 

◇対米ドルでのペソ◇

メキシコペソですが、1980年代と1990年代に二度の通貨危機を経験しています。2000年代に入ってからは政治、経済が安定し、高い政策金利とメキシコペソの格付けの上昇により信用力が上昇、対USドルで為替レートは安定してきました。

しかし、2016年になって米大統領選期間中にトランプがメキシコとの国境にメキシコ負担で壁を作らせるとか、NAFTA北米自由貿易協定)から脱退するとかといった発言をしたため、再びUSDMXNは上昇(ペソ安)していきました。そしてトランプが大統領に就任した2017年1月にUSDMXNは最高値(ペソ最安値)をつけました。(1)

その後、2017年2月から7月にかけてメキシコ中央銀行が連続して利上げを実施し、再びUSDMXNは下落(ペソ高)に転じていきました。(2)

f:id:rudolfu:20190331111007p:plain

ところが、米連邦制度理事会(FRB)が断続的な利上げを行いドル高に振れたことから、2017年8月から再びUSDMXNは上昇していきます。最近までこの流れが続いていました。ただ2019年3月にFRBが2019年の利上げ打ち止めを発表したので今後はトレンド転換(ペソ高)が起きるかもしれません。

USDMXNの週足チャートに、上記(1)と(2)でのフィボナッチライン、高値・安値を結んだトレンドラインを描いてみました。

f:id:rudolfu:20190331111327p:plain

直近までのトレンドとしては高値切り下げ下値切り上げの収束型BOXとなっています。2019年3月、FRBの暫く金利上げない発表によってこのトレンドが変わるかどうかの見極めが必要ですね。トレンドが変わらない場合、高値と下値が収束していって急にどちらかに振れる場合があるので注意です。トランプがまた余計なこと言って短期的にペソ安に振れることがあっても、中期的にはペソ高に向かう可能性の方が高いと考えられます。

 

またメキシコは産油国ですので原油価格でもペソは変動するようです。最近はWTIで1バレル当たりUSD60前後で高値安定していますのでペソにとっては居心地が良さそうです。USD50を切ってくるとペソ安要因になるので注意。

 

◇対円でのペソ◇

次に対円でのペソです。史上最安値は2016年11月9日の4.87円。2018年以降は5.500~6.000の間を短・中期的な周期で上昇・下降・横這いを繰り返しています。時々6.000を超えたり、5.500を下回ったりしますが比較的早くこの5.500~6.000のレンジに戻るようです。このレンジの中5.780付近に中間のレジサポラインがあるように思います。これを下から上に強く抜けると6.00に近づき、逆に上から下に強く抜けると5.500に近づくパターンが多いようです。時々上下にオーバーシュートする場合も見られますが、対米ドルでのチャートが高値切り下げ下値切り上げの収束型BOXになっているためオーバーシュートの機会も少なくなってきている印象です。米ドル円がドル高に振れるとペソ円も上がり、ドル安に振れると下がります。下↓は2018年からの日足チャート。

f:id:rudolfu:20190331124155p:plain


◇ペソ円の買い仕込み方◇

毎月積み立てのコスト平均法で買う場合でも中間のレジサポライン5.780以下で仕込みたいところです。セントラル短資FXのスワポが15円/LOT・日なので1ヶ月かかっても4.5pips安く仕込めれば為替差益と相殺できます。無理に5.780以上で買う必要はあまりないんじゃないかと。

トランプ発言などで5.600以下のペソ安に振れたら、それはペソの短期バーゲンセールと思いますので少し多めに買い増ししておいてもいいかも。もちろんトランプ大統領にお礼を言いながら買ってください(笑。5.5円代で欲張り過ぎて買い過ぎてしまったら、5.780以上になった時にポジション調整してもいいかもねですね。

 

◇ペソ円の今後の波乱要因◇

良くも悪くも米国の景気、米国との関係次第です。米国の景気判断に関係する指数・指標、FRB金利発表、トランプの国境の壁発言で大きく動く可能性があります。もちろんメキシコの政策金利でも動きます。次に原油価格ですね。また現在の大統領は左翼系なのでポピュリズム政策に走らないとも限りません。左翼系はともかく経済・金融政策に疎いので。

 

トレードは自己判断で